神使たちの宴~京の怪~稲荷山へ行こう!

スターゲート・夜空を渡る百億の星~テディベア ルーの冒険~act,9 伏見稲荷大社2

【 テディベア ルー、神使・式神同盟にサインする  の巻 】


森閑と更けわたる、夜のしじまの中 ____ 。

部屋の窓から 射し込む、銀の光に誘われて 私は窓辺に立った。
月あかりに照らされて 天を仰ぐと、宵藍色の夜天には 煌々と冴える 銀の三日月。
美しい 銀の月夜であった。
うす蒼い月の光が 床に窓の影を落としている。

(  月影の窓  ___ 。)

なんと ファンタスティックな光景であろうか!

まるで 、異世界へ通じる 秘密の扉のようだ。

開け放たれたテラスの窓から吹き込む 夏の夜風が、火照った肌に心地よい。
ほのかに漂う、甘美な沈香の香気___。
群竹の葉ずれの音 。
リーン、リーンと鳴く、鈴虫の声。


ああ・・・、イイわ〜! 古都の夜 。

風情があるわぁ〜 、情緒があるわぁ〜と 思ったのも つかの間、

“ リーンリーン…、チンチロリン、チンチロリン…。

スイッチョン、スイッチョン……。”

“ ミーンミーン、ジー…オーシンツクツク…。

カナカナカナカナ……。”

鈴虫,松虫,ウマオイだけでなく、ヒグラシにミンミン蝉,

ツクツクボウシ等、蝉一族までも鳴き出した。

「 (  ̄へ ̄ )……… 。」

気分は台無し、風情も情緒もヘッタクレもない。

サービス過剰は ウザいだけだ。

『 ちょっと!あんたたち、うるさいわよっ‼︎』と、叫んだ。

『 BGMサービスも結構だけれど ほどほどにして ちょうだい!

【 過ぎたるは 猶 及ばざるが如し 】って 言うでしょ!

あんたたち、知らないの?』

と、抗議してみたが、虫が相手では 埒が明くはずもない。

しかも、ありがたくないことに、彼らは更に同胞の数を増やしていった。

アゲハ蝶,モンシロ蝶,ウスバカゲロウ,コウロギ,バッタ,

キリギリス,蛍にカブト虫、クワガタ、しおからトンボに秋茜__。

蜂、百足、蜘蛛に カマキリまでいる!

 

「 何なのよ、これ ・・・。」

 

気づくと 私の部屋はグロテスクな珍入者 でいっぱい、虫軍団に占拠されていた。

そして____、

何かが足元から するすると登ってきて 私の左肩に乗った。

“ ヤモリ ”だった。

チロチロッと真っ赤な舌をちらつかせ、上目遣いで 私を見る。

『 ひっ!! 』

思わず 肩のヤモリを振り払った正にその時、私は虫たちの侵入ルートをを突き止めた。

あの、“ 月影の窓 ” だったのだ。

足元にできた月影の窓から、虫が わんさか入ってくる。

虫嫌いの私にとって、これは拷問と同じだ

 

『 ひぇ___っ!助けて、助けて ルー!!』

 

・・・・私は 助けを求める自分の悲鳴で 目を覚ました。

私は ベッドの中にいた。

ベッドから起き上がり、スタンドライトの柔らかな灯りに照らされた部屋の中を見渡した。

高い天井、ドレープの入った豪奢なカーテン。オーク材の猫足のテーブルと椅子。

落ち着いた淡いベージュの色調でまとめられた、ロココ調のホテルの部屋だった。

特に変わった様子はない。

さっきのはいったい何だったんだろう?

あの虫軍団はどこに消えたのか……。

私は何気なく ベッドサイドの時計を見た。時計の針はam.3:00を指している。

丑三つ時⁉︎ 妖しが跋扈(ばっこ)する時間帯ではないか!

どうやら 私は気づかぬうちに、異世界から珍客を招き入れてしまったらしい。

夢か 現か 幻か___。

どこまでが現実で どこから先が夢だったのか わからなくなってしまった。

『 ワコちゃん、……ごめんね。』

ルーがすまなそうにいった。

『 皆には ほどほどにするよう、よーく言ってきかせるから…。

皆の相手はボクに任せて、朝まで ゆっくり休んでね。』

「……うん、ありがと 。皆 によろしくね。」

ときに、皆とは、どこの どなたさまで?と思ったが、

睡魔には勝てず、質問はそのまま保留にして眠ることにした。

が 、しかし、その夜____。

皆 という輩(やから)は 私を眠らせては くれなかった。

彼らは 入れ替わり立ち代り 私の夢に現れては消え、私を悩ませた。

寝ては覚め 寝ては覚め を繰り返すこと5回。

その度ごとに「 ぎゃあ〜!」と叫ぶ自分の悲鳴で目が覚める。

始めは 虫軍団。

次にカエル,トカゲ,ヘビ, ヤモリなどの爬虫類

その次は、空中にフィシュボールを画く鯉の群れ。

4番目が ウサギ, ネズミ, スズメ, 鳩 ,コウモリ,リスなどの小動物たち。

そして……、5番手に現れたのが 小鬼の集団 だった。

彼らはギーゥ、と奇声を発しながら 競ってカーテンをよじ登り 寝ている私の腹めがけてジャンプ!

私の腹をトランポリン代りにして 飛び跳ね、キャッキャ,キャッキャと はしゃぎまくり、盛り上がっている。

誰が1番高く飛べるかを 競っているようだ。

( 後に ルーから聞いたことだが、これは[高跳ね くらべ]といい、小鬼たちが1番好む遊びらしい。)

この、“ 小鬼たちのドンチャンさわぎ ” は留まることを知らず、更なる盛り上がりをみせ 夜通し続いた。

・・・なんだか イヤ〜な予感。

数分後、そのイヤ〜な予感は みごとに的中した。

彼らは 私に ひと言の断わりもなく 勝手に 冷蔵庫を開け、中から冷やしてあった缶ビール10本を全部、持ち出すと、 床に円陣を作って座り込み、酒盛りを始めた。

あ___っ!あいつら、あたしのビールを……。

『 ちょっと、あんたたち 何すんのよ!勝手にひとのビール、飲まないでよっ!』

…と、キレて怒鳴っても、彼らには通じない。

鬼は人の言葉を理解しないのだから 怒り損だ。体力を使うだけムダである。

私は彼らに抗議する術もなく、我が身に降りかかってきた災厄が 一刻も早く去ってくれる事を ただ ひたすら念じていた。

 

夜天が薄っすらと青味を帯び始める 夜明け近く___。

東の空に暁月が登った。

有明の空に輝く暁月が ひときわ強い銀の光を放つと

月から部屋の中へと月光の橋、~月の渡橋 ~が架かった。

すると、小鬼軍団は 霧散、何処ともなく消え去った。

暁月の銀の光が、小鬼たちを 祓ってくれたのである。

ああ、助かった!これで やっと安心して眠れるわと、ホッとしたのもつかの間、

雅な楽の音と共に6番手が現れた。

藤重の十二単を着た、うりざね顔の高貴な女人だった。

白地に☆印=五芒星の描かれた護符を額から下げ、顔を覆っている。

小鬼の次は、平安時代盤キョンシーが出た!

そのキョンシー、否、女人は 赤檜扇(あかひおおぎ)を手に掲げ、ゆるりゆるりと月の渡橋を渡ってこちらへ来る。

彼女の後には公達の装束を着た 子狐の雅楽隊、その後ろに はっぴ姿で輿(こし)を担いだ 野狐たちが続く。

輿? とこぞの貴人の乗り物だろうか…。

ふいに、楽の音が止んだ。

野狐のうちの 一頭が懐(ふところ)から履き物をだし、輿の前に揃えておくと、

輿の戸が すーっとを開き、黒烏帽子に白い水干という出で立ちの貴公子が降り立った。

狐たちは 片膝をつき、うやうやしく 最敬礼で貴公子を迎えた。

色白で細面、憂いある切れ長の目__。典型的な平安朝 美男子だ。

そのイケメン貴公子は、紅い唇に一輪の桔梗の花をはみ、

少女マンガの主役の如く、バックに薄紫の桔梗の花を背負って登場した。

傍らには、銀針の毛の 美しい白狐が控えている。

貴公子は私とルーを認めると にっこりと微笑み、詠うような 口調で こう、切りだした。

『 ワコ殿、ルー殿。

遠方から よく来てたもれました。お待ちしとるであらしゃいます。

京の都に滞在中は 身共(みども)の館にて どないぞ ごゆっくり お過ごしたもれ。

ところで、今宵は こなたら一同、神使・式神を挙げて

歓迎の宴を催しましたが、気に入って もらえたやろか?』

「 はぁ……、アリガト ゴザイマス 。」

・・・・私はルーと顔を見合わせた。

彼らは 式神と神使?

あの騒ぎは “ 歓迎の宴 ” ?

私は “ 妖しに睡眠をジャマされ 一晩中 眠れず とんだ災難だった ” と思っていたのに!

立場が違うと、これほど違うものなのか…。

神様だけじゃない、神使,式神たちとの おつきあいも 体力勝負であることを実感した。

・・・ここは、前向きに考えよう。

私は “ またひとつ 勉強になった ”そう、思うことにした。

『 ワコ殿、今、朝餉を た致すで おじゃる。食べ終わったら 祭殿へ来てたもれ。

天狐 ホタル、ふたりのお世話を お願い致すでごじゃる。

では 後ほど、祭殿で待って あらしらゃいますよ。』

そう言って、イケメン貴公子は私に背を向けた。

白い水干の背には 見覚えのある☆の紋。セーマンの五芒星 か⁉︎

「 あの・・・、あなた様は どなた様で?」

『 身共は、天文博士・播磨守 あべの やすあきら・・・。』

貴公子は そう言い残して、眷属の狐もろとも 私たちの前から フッと姿を消した。

 

朝、9時。

私とルーは天狐のホタルちゃんに案内され、ホテル内の 京懐石・蛍 で、

究極の朝げ と評判の “ 朝がゆ くじゃく膳 ”を楽しんでいた。

『 目の下に、くま ができてる!ワコちゃん、夕べは ちゃんと眠れた?』

ルーは心配そうに私の顔を 覗き込んだ。

「 一晩くらい、徹夜したって 大丈夫、へっちゃらよ。」と応えると、

『 ・・・・ 眠れなかったんだね。

あいつらめ!後で 死ぬほど 叱っておくから。本当にごめんね、ワコちゃん。』と、ルー。

「 ねぇ、ルー、あの大騒ぎは 式神流の “真心のこもった おもてなし”だったのよね。」

『 うん。それに、彼らの立場からすれば、珍しかったんだと思うよ。

ワコちゃんみたいな体質の人間って、そうそう いないもの。

多分、何百年ぶりかで会ったんじゃないかな。』

「 彼らの存在が 視える、ということ?」

『 いや、“ いっしょに遊んでくれる人 ”ってことさ。』

「 !!!! 」

式神たちのあの盛り上がりは、遊興だったのか。

まあ、彼らが楽しんでくれたなら それで良しとしよう、これからお世話になるんだし…と思った。

『 やっぱり___、昨日のうちに、先方に出向くべきだったかな……』とルー。

「 へ?どこに?」

『 この度の京都 伏見稲荷 スターゲート・プロジェクトは ちょっと事情が変わってね、予定が大きく変更になったんだ。

で、プリンス式神のお宅にホームステイして 、諸々、仕切り直すことになったの。』

「 プリンス式神って、あの イケメン貴公子のこと?播磨守. あべの やすあきら さん、だっけ。」

『 うん、あそこの家に“ くずの葉ちゃん ”って、空狐(くうこ)がいるの。』

ルーは、ちょっと話が長くなるけど、といって状況を説明し始めた。

「 空狐?」

『 三千年 以上 生きている、尾裂狐(オサキ)という、4尾の神狐のことさ。

ものすごい神通力の持ち主なんだ。くずの葉ちゃんは、日本一の神狐だよ。』

ルーいわく、

千年以上 生きている狐を “ 天狐 ” (てんこ)それ以下を “ 野狐 ”(やこ)と呼ぶそうだ。

『 ちなみに、伏見の神狐たちは みんな 天狐。

オススキ パパ とアコマチ ママは共に2800才で、限りなく 空狐に近い天狐。

その子狐たちの

ホタルちゃん、アゲハちゃん、トンボくん、ジャノメちゃん、セミマルくんは、

今年1800才になる、天狐。

彼らはあの、ヒミコちゃんの神使を務めたんだって 』

「 へぇー、凄いのねぇ。ホタルちゃんたち伏見の神使って。」

『 そうさ!何せ、山城の国、神狐・筆頭だからね。』

それにしても、日本の歴史上 名高い “ 聞得大君”(きこえのおおきみ)、

卑弥呼に仕えていた神狐に付いてもらえるだなんて!

なんたる、光栄!なんて ラッキーな私たち!

「 ルー、伏見の神々様に よーく、御礼をいってね。」

ルーは、うなづくと、話を続けた。

『 さらに、その上がいる。

瑞獣(ずいじゅう)といわれている、オサキの玉藻ちゃん。

白面金毛.九尾の狐でね。世界一 美しい、絶世の美狐なんだ。

擬態といってね、彼女、人間に化けられるんだ。だから、誤解を受けやすい。

いつも誰かに恋してないと 淋しくて死んじゃうんだって。

情にモロい狐でね、よせばいいのに つい、人間に惚れ込んで 争いごとに巻き込まれちゃう。

まあ、そんな面もあるけれど、神狐 業界では唯一無二の霊力を誇る 絶対の存在。

玉藻ちゃんは、天下無敵の瑞獣・瑞狐(ずいこ)なんだよ。』

「 凄いのねぇ、玉藻ちゃんって。もしかしたら、殺生石の話で有名な、あのキツネさん?」

と聞いたら、

『 もう!これだから…、困ったものだ。あれは 騙り(かたり)、ただの創り話だよ。

そもそも、玉藻ちゃんは 神使じゃなくて神獣。神格を持っているんだ。

麒麟、龍、鳳凰、霊亀、鸞鳥と並んで 吉兆の起こる前触れとして現れる、

霊妙な獣=瑞獣なんだから!』

そんなこと いったら、玉藻ちゃんに嫌われちゃうぞ、とルー。

「 失礼しました。ごめんなさい、ルー。」

叱られてしまった。

それにしても、玉藻ちゃんが幸せを呼ぶ霊獣だったとは!

九尾の狐の伝承とは 全く違う。言い伝えでは、人間をたぶらかす 妖狐だ。

瑞獣の玉藻ちゃんに 会いたかったな。お会いできなくて、本当に残念だ。

『 ボク、当初は 玉藻ちゃんに 今回、スターゲートを開く仕切り役をお願いして、

OKをもらってたんだ。先導役をホタルちゃん、仕切り役を玉藻に決めて、

この日のために いろいろと準備してきたんだよ。』

ところがね…と、ルーは事態が急変した いきさつを説明してくれた。

『おととい、ボクのFacebookに玉藻ちゃんから連絡があったんだ。

急に 都合が悪くなって参加できなくなりました、って。

来日予定の飛行機が 全て欠航。日本に来れなくなっちゃったんだ。』

「 玉藻ちゃん、霊力 使って飛んで来れないの?」と尋ねると、ルーがいうには

最強の霊力を誇る神狐といえど、エネルギーは消耗する。

人への擬態は、他のそれとは異なり エネルギーの消耗が、著しい。

とりわけ、直立歩行を し続けることは 狐にとって 至難の技。

尻尾を出さないよう 周囲に気を配り、毎日 心身ともに ヘトヘトなのだそう。

『 体力不足のため、カタールから飛来するのは無理、なんだって。』

「 カタール?玉藻ちゃん 今、カタールにいるの?」

と尋ねた ちょうどその時、ポロン…ポロンとFacebookの着信音が鳴った。

『 玉藻ちゃんからメッセージが来た。

さすが 玉藻ちゃん!いなくても、こちらの状況はわかっているんだね。』

ルーはFacebookを開き、メッセージを読み上げた。

 

♥︎ オライオン、こ無沙汰しています。

ワコちゃん、はじめまして。ただ今 ご紹介に あずかりました 玉藻です。

私は今、カタールにいます。美女に化け、過日 知り合った人間のBFと恋愛中。

彼と共に海辺の離宮で楽しい時間を過ごしています。

この度は お役にたてず、ごめんなさいね。

スターゲートを開く時は、カタールからパワー送ります。

倭國の神狐たちに よろしく。 〜 愛を込めて  ♥︎  玉藻  ♥︎  〜

 

「 ルー、玉藻ちゃんのBFって誰?」

『 カタール首長の ご子息。』

「 すっごーい!さすが、世界一!」

うーん、これは究極の良縁成就だ。

私も玉藻サマにあやかり、玉の輿に乗りたい。

話が元に戻るけど…と、ルー。

『 そんなわけで、急遽、土御門のくずの葉ちゃんに仕切り役をお願いすることになったんだ。』

「 そう、たいへんだったわね。」

『 くずの葉ちゃんは、快く引き受けてくれたんだけど…。

プリンス式神が 労働条件を出してきた。ワコちゃん、ちょっと コレ見て。』

ルーはFacebook神様用を開いて見せた。ホツマ文字の翻訳変換を付けたそうだ。

 

☆ ルー様、ワコ様

この度は弊社 所属 “ くずの葉 ”への ご用命、ありがとうございます。

下記の条件にて、仕切り役の件、承ります。

ご確認の上、ご検討 くださいますように。

《 京都 神使, 式神 同盟社 ・代表取締役 安倍晴明 》

*当社は、神使,式神の派遣業です。

ご満足 頂けるサービスを心がけ、社員一同、ご用命をお待ちしております。

☆ 〜 契約書〜 【くずの葉 】

(1) ギャラ

ご用命1回につき

・ 米          一斗

・ 純米酒     一升瓶 × 2本

(2) 特別指名料

*くずの葉は スーパーAランクにつき、

・ 明宝ハム     大サイズ×3本

(3)その他の条件

・京都滞在中は拙宅、ないしは その敷地内に宿泊のこと。(外泊は応・相談)

・当社 所属の神使 , 式神との交流。

《 当社主催のウエルカム パーティ・神使の宴~京の夜怪~(きょうのやかい)に出席のこと。》

・滞在中は 堀川の祭殿に 毎日 、閉門までに立ち寄ること。

—- 以上——

 

しかし、ギャラが酒 2升に、米 1斗とは驚いた!1斗といったら15kg。

それに、市販のチキンハムじゃなく、明宝ハムが御用達とは…。

神狐たちはグルメだったのだ。

『 プリンス式神=元、陰陽師 安倍晴明氏は、京都の神使 , 式神の総元締め。

京都・神使, 式神 同盟社の社長、兼 マネージャーなんだ。』と、ルー。

昔、晴明氏が 天文博士と陰陽師をやってたことは余りにも有名だ。

「 播磨守・あべのやすあきらさんって、晴明さんのことだったのね。」

ルーは うん、と うなづいて話を続けた。

『 きのう、ボクたち 泉仙で盛り上がっちゃったでしょ?

晴明神社の閉門までに 間に合わなかったんだ。だから、式神たち がこちらに来たわけ』

「 それが あの騒ぎ=京のやかい(夜怪) だった。」

『 うん。』

『 晴明氏は 参拝者に晴明神社をPRしてもらうことによって、集客して 収入を得てるんだ。

彼、なかなかの遣り手でね、商売上手だよ。

派手な冒険はせず、手堅くコツコツと蓄積型の商売をしている。

式神派遣業の他にも、別会社で お宿の斡旋もしているんだ。

その収入のほとんどは、晴明神社の維持費として使われている。

昨今、老朽化が進んで修繕費が かさむって、ボヤいてた…。』

今の ご時世、たいへんなのは どこも同じ。

神様だって例外ではないことに 気づかされた。

これすべて、伝統と文化を後世に残すため。

次回からは、お賽銭をふんぱつ しよう。

 

『 ときに ワコちゃん、今日の予定だけど、まず 晴明神社へ行って 参拝。

ギャラを奉納して くずの葉ちゃんを迎えに行く。

次に、堀川通りを下って東寺の山門で待っている、ダキニ天様専属の神狐と合流。

それから、伏見稲荷へ行くからね。 じゃ、そろそろ出かけようか。』

 

私たちは、米,酒,ハム 合計20kgの奉納品を調達、タクシーにてホテルを出発。

一条通りを西に進み、一条戻り橋を渡って

堀川通り沿いの晴明神社へ。

神社に くずの葉ちゃんのギャラ、御神酒2本と 米・15kg、明宝ハム3本を奉納した。

 

 

土御門家のスター、空狐のくずの葉ちゃんは 境内の檜ノ木の下で待っていた。

雪白の毛に浅葱色の瞳のチャーミングな狐だ。

なんと、手のひらサイズに変化している。

彼女は私のシャツの胸ポケットに するっと潜りこんできた。

「 くずの葉ちゃん、この度は 急なことだったのに、仕切り役のお役目、引き受けてくれてありがとう。どうぞ、よろしくお願いしますね。」

すると、「 あい。」と一言、可愛らしい声で お返事が返ってきた。

 

『じゃ、皆で  “ 稲荷山へ行こう!出発〜!!』

【  応〜!!!】

「 ????」

境内になにやら大勢の、  人ならぬものの気配が・・・。

「 あれ?私たち以外にも、誰かいるの?」

『 うーん、ざっと数えて、500体といったところかな』とルー。

『 やだな〜、ワコちゃん、西日本を代表する、神使の狐たちじゃない。

くずの葉ちゃんの呼びかけで、スターゲート・プロジェクトの応援に駆けつけてくれた、神狐の方々だよ。』

“ 500体の狐 ”

そう聞いて、私はある光景を想像した。

神使の狐たちと共に大空を翔け、稲荷山へ行く 、私の雄姿を____。

(以前TVアニメで観た、ヒロインが神使の狐と共に  空をビューンと飛んでいた、あの光景だ。)

私は、心 ウキウキ、準備はOK!いつでも いいわよ と、大空にビューンを期待した。

だが・・・、

『  ワコちゃん、堀川通りに出て。』とルー。

伏見まで、空を飛んでいくんじゃなかったのか?と尋ねたら、ルーはあきれ顔。

『 ワコちゃん、アニメの見過ぎ。空は飛ばない。便利でお手頃の交通機関が あるでしょ。』

( なんだ、電車か・・・。つまらない…。)

ルーにそういわれ、なんとなく がっかりした、私であった。

 

〜   つづく  〜

 

 

皆さん、ご無沙汰しています。テディベア ルーです。

iPadの不調で act,9の投稿が遅れてしまいました。

この度も長~いお話だったけれど、最後までお付き合いくださって、ありがとう!

今回は、当初の予定を変更して、神狐たちと安倍晴明さんにスポットを当ててみました。

実はこれ、ほんとうにあったお話なんだ。

一部、誇張はあるものの、式神事件はノンフィクション。

京都って、不思議なところだよね。

さて、次回 は 稲荷山の主のお話。お山の何処を どのように お詣りすると、

最高のご利益を頂戴できるか、祈願の目的別にお話しを進めていくよ。

次回 ボクのエッセイ型ファンタジー小説 act,10『 神様のジャッジ・稲荷山審判 』は

8月28日にお届けする予定です。

7/19の 伏見稲荷・宵宮祭はFacebook=テディベアルーで、ライブでお届けします。

皆さんにも、ご利益のおすそ分けを 致します。是非、遊びに来て下さい。

じゃあね ,     A  bi e n t o t!

fr o m,  ルー