神様のジャッジ~稲荷山審判~

スターゲート・夜空を渡る百億の星~テディベアルーの冒険~act,10伏見稲荷大社3

 

【 テディベア ルー     奥の院にて 最強のト師と出逢う の巻 】

 

和銅4年  西暦711年____。

未だ  都が京に移る以前のこと。

如月 (2月 ) の初午の日、山背の神奈備たる稲荷山 山頂に 

宇迦之御魂大神( ウカノミタマノオオカミ )が降臨した___。

それが、伏見稲荷大社の起源と 今に伝わる。

 

1300年の歴史を刻む、京都・深草の伏見稲荷大社。

創建は奈良時代である。

もとは、この地を統べる豪族・秦氏の守り神であった。

今や 我が国のみならず  世界中から人々が訪れる …。

ここ、伏見稲荷は稲荷信仰の総本宮である。

【 稲荷大明神 】ともいい、“ お稲荷さん ” の呼び名で広く親しまれている。

 

東山三十六峰の最南端、稲荷山の西麓に建つ社が

壮大な朱の門、“ 朱の大鳥居 ”と共に人々を迎えてくれる。

背後には、艶やかにして壮麗なる楼門。

その威風堂々たる姿は 圧巻である。

楼門の両脇には 社殿を守る 対の神狐が控えており、それぞれが 稲荷大神のご神徳、

“ 万物の生成と化育 ”の象徴である、火炎宝珠(玉)と御倉の鍵を口に咥えている。

そして、今や 稲荷大社のシンボルともいわれる 千本鳥居__。

お山には1万基を越える朱の鳥居が 建ち並び、朱の回廊となって人々を幻想の世界へと誘う。

人の世と異世界とのあわいに立つ、その幽玄な光景は 他に類をみない 。

お山に奉納された 朱の鳥居は 人々の感謝と祈願の証。

稲荷大神への篤い信仰が作り上げた 小宇宙なのである。

 

古き神々を祀る七つの祠。

神霊を宿す、森,  川, 谷, 滝 …。

古より その自然のすべてが 信仰の対象となっている 、神奈備たるお山では

不可思議な現象が多いと聞く。

稲荷山は、我々 人の子が 神の力に触れることができる 希少な聖地である。

 

この類い稀なる神霊地は 古今東西、全国津々浦々から参拝者を迎え 清栄してきた。

枕草子の作者・清少納言

恋多き平安の歌人・和泉式部

武家政権 初の棟梁・平清盛

そして、あの超人…  高僧・弘法大師 空海 。

その他、崇敬者リストには、やんごとない身分の方々や

歴史に名を残す そうそうたるメンバーが名を連ねている。

ことに平安期以降に流行した 【熊野詣で】 の際には、

往き帰りに伏見稲荷に詣で、道中の無事を祈願する習わしがあった。

大神の守護の印、 “ いなり杉の小枝” を身に着けていれば、

道中の安全が保障される ”というジンクスがあったからだ。

大神が道中守護にと付けてくれた護法童子が、災いから身を守ってくれる と信じられていた。

現代風にいえば【熊野詣で・旅行保険】である。

帰りには 大神のもとへ 道中守護のお礼参り= 護法送り(ごほうおくり)に立ち寄った。

その他 、生母の平癒祈願にと、楼門を寄進した 天下人・豊臣秀吉。

江戸の町火消し 新門 辰五郎の女房の病平癒、等々…。

小さなものから 大きなものまで

稲荷大神の霊験を伝えるエピソードは 数限りない。

このように、伏見稲荷大明神は 有名人から 一般庶民に至るまで、

数多くのファンを抱え、幅広く 篤い信仰を集め、今に至っている。

 

古より 人々から崇敬を集めている その神は、五柱の神。

宇魂大神  (ウカノミタマノオオカミ)    万物育成と豊饒の神

・佐田彦大神  (サタヒコノオオカミ)     導きの神・別名:猿田彦命(サルタヒコノミコト)

・大宮能売大神  (オオミヤノメノオオカミ)      人気,和合,調和の神

*( アメノウズメノミコトと同一神であるとうい説により 芸能, 技芸の神 )

・田中大神  (タナカノオオカミ)

・四大神  (シノオオカミ)

この神々を総称して【稲荷大明神】という。

御神徳は  五穀豊穣、衣食住の守護、産業全般(商売, 産業, 農業, 興業 )の繁盛と発展,

旅行安全、良縁、人気運、安産、万病平癒、学業・芸術・技芸全般、災厄消除、等々

その他、個人宅の屋敷神に至るまで 実に幅広い。

何でもイケちゃう、オールマイティーで働き者の神様ではあるが

1番のお得意は【 生業の育成 と繁栄 】=  育てる力

稲成り= いなり の言葉の如く、

田んぼに植えた早苗が育ち 実り、やがて収穫の時を迎えるように

万物をじっくりと 時間をかけて育成し、豊饒へと導いていく…。

稲荷大明神は 人々の生活 、衣 食 住 の 守り神。

あらゆる豊かさを人々にもたらして くれる、万能の神様なのである。

そして、加えて もう一柱。

豊川稲荷の名でお馴染みの 荼枳尼天(ダキニてん)様。

弘法大師が勧請した、見目麗しく 熱いハートをお持ちの女神さまである。

大師の仲立ちで、稲荷大神との間に 本迹契約( ほんしゃく けいやく)を結んだ。

もともとは古代インドのダーキニーという、豊饒をもたらす女神。

巷では、“ ダキニ天様のご神徳には 速効性がある ”と もっぱらの評判だ。

開運出世、商売繁昌、福財、芸事上達、恋愛成就などがお得意である。

それから、最後の紹介となったが、わが愛すべき神使の白狐たち…。

以上が、伏見稲荷オールキャスト。

ここ、京都 深草の伏見稲荷大社に鎮座する 神々と神使である。

その広大無辺な ご神徳は 日本国内に留まらず、

【 朱の千本鳥居 】の名と ともに、全世界に知れ渡っている。

 

宵宮祭の日の正午___。

伏見稲荷は宵宮祭りに訪れた たくさんの人々でいっばいだ。

真夏のカンカン照りの太陽の下、

私たち  “ スターゲートプロジェクト隊一行 ” 総勢、506体と1名は

深緑の稲荷山を背にしてに建つ、朱の大鳥居の前に整列した。

人の波が参道の中央に立つ、私たちを避けて通っていく。

白狐たちの姿は常人には見えないし、声も聞こえない。

が、人は人なりに そこに 何かがいることを 感じとっているのだろう。

 

隊列の先頭は 天狐のホタルちゃん。

その後ろにルーを抱っこした私。シャツの胸ポケットには空狐のくずの葉ちゃんがいる。

私の左右には ホタルちゃんの兄弟姉妹たち。

左側にアゲハちゃん&トンボくん、右側にジャノメちゃん&セミマルくん。

その後ろに 西日本・神狐会、500体の狐たちがつづく。

彼らは屈強なボディガードのように、私の周囲をガッチリ固めている。

お気遣いはありがたいけれど、ちょっと 大げさじゃない?

そう思って理由を尋ねた。

『 いいや、ちっとも大げさじゃないよ。』と、ルー。

何かあるのだろうか?また私を脅かす、妖し(あやかし)が出るのだろうか?

『 ワコちゃんのガードを徹底させること、それには大きな理由がある。

人間たちは、“ 稲荷山は全て神域 ”と思っているようだけど、ちょっと違うんだ。

むしろ、神域に属さない場所の方が多い。

例えば 参道__。まあ、基本的には 大丈夫 なんだけどね。

同じ参道でも 朱の鳥居の建っていない部分の道には 多少、問題があるんだ。

稲荷塗りといわれる鳥居の朱色には魔除けの力がある。

参道には、鳥居の掛かっていない ところもあるでしょ?

その部分は魔除けの効力が弱いから、迷い霊(まよいだま)が寄ってくるんだよ。』

「 でも、参道っていったら神様の通り道じゃない。それなのに妖しが寄ってくるの?」

『 確かに参道は神様の通り道だけど 神様専用じゃない。人間と共用でしょ?』とルー。

確かにそうだ。

参道には 中央は神様、人の子は両端を通るという暗黙のルールがある。

ルーは続けていった。

『 稲荷山には いろんな霊がいる。気のいい奴もいれば、タチの悪い悪鬼もいる。

先導のホタルちゃんの役目は 地ならし。

立ちふさがる敵を蹴散らし、スターゲートプロジェクト・お山の巡りの行列が

妨げられることのないよう、道を開くことなんだよ。

しかも、悪鬼どもの手からワコちゃんを護りながらね。

奴らの狙いは ワコちゃんの持つ、山城ビザ。

奴らにとって、喉から手が出るほど欲しいもの なんだ。

これを手に入れれば、今まで結界によってブロックされていた 神域へ入れる。

悪鬼仲間を引き込んで盛大に暴れることができるんだ。』

「 ええっ!聖なる山が 魔の山になってしまうの?」

『 だから、失敗は許されないんだよ、ワコちゃん。

そうならないように 皆で力を合わせて がんばるんだ。』ルーは厳しい表情で言った。

『 今回のことは 奴らにとって 千載一遇のチャンス。

悪鬼を退ける術(すべ)を持たないワコちゃんは、奴らにとって格好の獲物さ。

山城ビザは ワコちゃんの魂に宿っている。

だから、ワコちゃんをさらって魂を抜き取ってしまえば、用は済む。

身体の方には用がないから、後は どうなるのかなぁ…。ウッヒヒヒヒヒ〜‼︎』

ルーは意味ありげに 笑った。

『 どこかに ポイっと捨てられるかなぁ〜?いや、もしかしたら…。』

ルーは言葉を濁す。

(どうしよう、魂を抜かれた後、喰われるかもしれない…。)

ホラー映画で観た、百鬼夜行のワンシーンが 脳裏をよぎった。

鬼たちが ガリガリと すさまじい音をたてて 牛を喰らっていた あの おどろおどろしいシーンが!

私の頭の中で、妄想が炸裂した。

 

「  いやぁあーっ!!」

 

『 ルーちゃんたら!』

と、側で話を聞いていたホタルちゃんが助け船を出してくれた。

『 大丈夫、そんなことには なりんせん。

わっちたち、伏見の神狐の威信にかけて ワコちゃんをお守りしんす。

安心して くんなまし。』と、胸を叩いてみせた。

『 いよっ!さすが、ホタルちゃん。ボクが見込んだとおりだ。頼りになるねぇ!』

しっかり者のホタルちゃんだからこそ、先導役をお願いしたんだ、とルー。

『 先導役は強い霊力だけでなく、それを使う 体力と精神力に加えて

とっさの場合の判断力が要る。

強靭な体、強い霊力、柔軟な心…。心 技 体、そのどれが欠けても この役は務まらない。

ホタルちゃんだからこそ できる お役目なんだよ。』

ホタルちゃんはルーに誉めちぎられて、何だか 少し くすぐったそう。

照れ隠しなのか、尻尾を左右に大きく振って参道を掃き清めている。

しっかり者で姉御肌、ホタルちゃんは とっても シャイでいかす狐(コ)だな〜と思った。

 

『 この度は 予想外のことばかり起こる。だから、念には念を入れていきたいんだ。

ぶっつけ本番は危険、リハーサルをしよう。

あらゆる状況を想定して、どんなアクシデントにも即、対応できるようにするんだ。』

“ これがベストと思う 最強の隊列を組むのだ ” と、

ルーは 稲荷山スターゲート プロジェクトにかける、熱い想いを語った。

 

『 ワコちゃんは くずの葉ちゃんと しばらく ここで待っててね。』

ルーはそういって踵を返すと楼門を背にして 神狐たちの前に立ちこう、呼びかけた。

『 お集まりの西日本・神狐会 有志の皆さん、

本日は お暑い中、 遠路 お運び頂き ありがとうございます。

皆さんの ご参加に 主催者として、深く、感謝の意を表します。

私、この度のスターゲートプロジェクト & 稲荷山観光ツアーのディレクターを務める、

オリオン座の “オライオン. ルーニール .エル. サンタ ステラ”こと、テディベア ルーです。

こちらは、アシスタントディレクターの伏見の神狐 トンボくん。

私 ともども、よろしくお願い申し上げます。

この度のプロジェクトは 先導役に伏見の神狐 ホタルさん、

仕切役には 土御門の空狐 くずの葉さんをお迎えして執り行います。

さっそくですが、これより本番に向けてリハーサルを致します。

お手元の交番表をご覧ください。

行程をご説明します。コースNo.A-1 ドライ リハーサルの項目です。』

稲荷山スターゲートプロジェクトの打ち合わせが始まった。

 

ルーいわく、

稲荷山に在る 朱の門・スターゲートはお山丸ごとひとつ。

お山 そのものが スターゲートなのだそう。

正確には、稲荷山のスターゲートは 山頂の “しるしの杉 ”上空に浮かぶ、

“ ピンクの龍の巣 ”という、桃色 螺状雲(らじょう うん)の中にあるという。

 

稲荷山  + 螺状雲 (龍の巣)  = スターゲート

 

つまり、お山と螺状雲がパックになっているのである。

スターゲートが発するエナジーは、

稲荷山から螺状雲を抜けて宇宙の根源へと還り、新しいピュアなエナジーに生まれ変わる。

生まれ変わったエナジーは、再び スターゲートを通り地球の大地に降り注ぎ、

万物を育てる 大いなる力の源となるのだ。

この稲荷山のゲートは、山頂のしるしの杉におわす 稲荷山の主によって管理され、

太古より 滞ることなく機能し、この地に大いなる恵みのエナジーをもたらしている。

 

今回のミッションは、稲荷山スターゲートのパワーアップが目的だ。

この稲荷山スターゲートをパワーアップさせるためには、

奥の院・白狐宮裏のお山巡りの参道から 稲荷山山頂を通り、

螺状雲・龍の巣へと延びる天空の道=稲荷山神道(いなりやましんどう)を通すことが必須だ。

この古道は 千年前に一度、使われたきり。

その後は 使われることなく、休眠している幻の神道である。

この稲荷山神道を再び 開くには、奥の院・白狐宮から山頂にかけてに建つ、

お山を巡る全ての鳥居を通らなければならない。

鳥居の大小にかかわらず、ひとつ残らず、である。

ひとつでも残せば、エラー。龍の巣へと延びる、天空の道は開かない。

スターゲートの開放は成らず、中途半端なまま終わってしまう。

チャンスは一度。やり直しはきかない。

稲荷山上空に 桃色 螺状雲が来ている、今だからこそできるのだ。

失敗したら 次の機会が来るのを待つしかないのである。

 

地球にあるスターゲートは、ルーと神域の者たちだけでは開かない。

スターゲートを開くためには 地球人で、ある特定の条件を満たした者、

つまり、私の協力がいる。

お山巡りは ルーと神狐たちだけなら、ほんの10分ほどで済む行程だが、

私を入れて、ということになると話が違ってくる。

白狐宮からのお山巡りの行程は人間の足で約4時間。

18時の宵宮祭り開始前にまでに スターゲートを開き終えるとなると、

タイムリミットまで 約5時間。時間に余裕はない。

つまり、今回のミッションは いろいろな意味で ギリギリの一発勝負なのだ。

私はルーの話を聞いて驚いた。

今回のミッションは一筋縄ではいかない。その複雑な仕組みたるや、超A級である。

いつもなら、おどけて 冗談を飛ばしているはずのルーが

こんなに神経質になるなんて、と思っていたが…。

それもそのはず、この状況なら ルーが神経を尖らせるのも うなづける。

 

『 ここまで、ご質問のある方は どうぞ。・・・・ありませんか?

では、ドライ リハーサルに移ります。』

「 かっこいいぞ、ルー! 」私は思わず声をかけた。

『くずの葉ちゃんの出番は ランスルー (通しのリハーサル) から。少し待っててね。』

ルーはそういって、ウインクしてみせた。

『 では、ドライ リハーサル いきます。・・・用意、スタート!』

 「  カ チ ン!!」

アシスタントを務めるトンボくんが、カチンコ を鳴らした。

京都 東映太秦撮影所のお稲荷さんから、拝借してきたとのこと。

へぇー、本格的じゃない、ルー。

ルーは“ 依り代のクマのぬいぐるみ ”から抜け、光の魂になった。

そして、ホタルちゃん +505体の神狐たちの隊列に加わり、

お山巡りのリハーサルに出かけた。

一行は一陣の風となって 朱の鳥居を通り抜け、

山城の神奈備 稲荷山の神蹟を駆け巡っていくのである。

後には、私と天狐のくずの葉ちゃんが 残された。

待つのは ほんの数分の間だろうが、私は何もやる事がなくて退屈だった。

(・・・・・ヒマだ。)

くずの葉ちゃんは私の胸ポケットの中で、モゾモゾと動いている。

彼女も私と同じ気持ちなのだろうか、所在なさげにしている。

私は くずの葉ちゃんに話かけてみた。

「 暑いね〜。」

『  あ い。』

「 皆、お山に行っちゃったね。」

『 あ い。』

・・・・・どうしよう、会話が続かない。

その時、 ふと 思いだした。

バックの中に さっきデパ地下で試食用にもらった、明宝ハムの切れはしがあることを。

ラッキー!くずの葉ちゃんと、お近づきになれるチャンスだ。

そう考えた私は、何の ためらいもなく、くずの葉ちゃんに言った。

「 くずの葉ちゃん、いいものあげる。お口あけて。」

くずの葉ちゃんはポケットから頭を出し、クンクンと匂いを嗅ぐと、

口をあけて パクン!明宝ハムの切れはしを 飲み込んだ。

「 おいしい?くずの葉ちゃん。」

よーし、きっかけが つかめたぞ、と思った。…が、返事がない。

すると、しばらくの沈黙の後……、

 

『 ・・・・・ヒック!・・・ヒック!!・・・ゥ〜イッ! 』と

 

ポケットの中から、しゃくり上げるような声が………。

「 くずの葉ちゃん、どうかした?確かコレ、あなたの好物だったわよね。」

と尋ねると

くずの葉ちゃんは モソモソとポケットから這い出して ぴょーんと参道に飛び降りた。

『  うーぃっ!!・・・・うーぃっ!!』

たいへんだっ!くずの葉ちゃん、目がすわってる。

「 く・・・くずの葉ちゃん、大丈夫?」

 

『   あ ー い ー!! 』

 

くずの葉ちゃんは大音声で応えると、みるみるうちに巨大化して

アドバルーンほどの大きさに膨れあがり、宙へ舞い上がった。

楼門 の上空を浮遊している。まるで、ふわふわの羽毛が生えた白雲のようだ。

 

『 ただいま〜!』

そこへ、ドライ リハーサルを終えた ルーたちが帰着した。

『 次、ランスルー いきます。仕切役のくずの葉さん、お願いしま〜す !』

アシスタントのトンボくんが神狐たちの間を 忙しく走りまわっている。

『お待たせ、くずの葉ちゃん。・・・あれ?くずの葉ちゃんは、どこ?』

ルーは あたりを見まわした。

「 くずの葉ちゃんなら、あそこに…。」

私は楼門の上を指さした。

その時、アドバルーン大に巨大化したくずの葉ちゃんは

楼門の上空で  “ くずの葉・変化ショー ” のまっ最中だった。

おかめ→瓢箪→小槌→招き猫→龍→鳳凰→亀→小判→宝船に乗った七福神…。

『 うーぃっ!・・・ひーっく!!』と しゃくりあげながら、

ありとあらゆる 縁起物に変化(へんげ)し続ける くずの葉ちゃん。

人間には見えないことが何より救いだ。

日本一の神狐と誉れ高い、空狐くずの葉の名に傷がつく。

『・・・これは いったい…。』

この有様を見て、ルーは 頭をかかえた。

『 あんれ まぁ、くずの葉さんたら ごきげんでありんすな。』

ホタルちゃんが くすくすっと笑って言った。

『 くずの葉ちゃん、どうしちゃったの?』

『 くずの葉さん、酔っぱらっているんでありんす。』

 

『・・・・なにぃ〜!!!』

 

ホタルちゃんの話を聞いた ルーは、その場にフリーズした。

西日本 神狐会の狐たちも 事態に気づいて 騒ぎはじめた。

『 おや、くずの葉はん、何ぞ 悪いもんでも 食べたのやろうか?』

『 もしかして……、ハムで あらしゃいますやろか?』

ハムか?どの くりゃーの量を食うたん?』

『 何でん、ハムば、食うたとか?』

『 アホ! 誰が食わしたんじゃい!!』

ハムが、どーした こーしたと、口々に言っている。

どうしよう….. もしかしたら 私のせい?

もう、ルーの 面目は丸つぶれ である。

『 ワコちゃん!』

ルーが キッ!となって 私を横目で睨んだ。

「 ハイッ!」

私はビビッた。やっぱり…、私のせい?

『 ボクのいない間に何があったのか、この状況をボクに解るように説明して。』

ルーは一言一句、区切りながら 私に言い聞かせるように言った。

私は くずの葉ちゃんに、好物の明宝ハムをほんの少し あげただけなのに…。

こんなことになろうとは思っても みなかった。

顔を引きつらせているルー。事態は相当 ヤバイらしい。

( 言いにくい、まっこと 言いにくい …。)

私は口の中でゴニョゴニョと、蚊の鳴くような小さな声で言った。

「 ・・・・・あげた。」

『 何 ⁉︎   もっと 大きな声で はっきりと!』

「 怒らないでよ〜、ルー。」私は べそをかいた。

『 怒ってるんじゃない、あせってるの。

ワコちゃん、タイムリミットまで5時間を切った。

わかってくれていると思うけど、

宵宮祭の開始前にスターゲートを開かなきゃならない。

ボクは主催者として、一刻も早くこの事態を収拾したい。

だから、くずの葉ちゃんに何が起きたのか 話して。』とルー。

えーぃ、もう 、こうなりゃ、やけっぱちだ !!

「 くずの葉ちゃんに明宝ハムあげた!」

『・・・・、えーっ!?』

一瞬、ルーは 凍りついた。そして「そう…」と、ひとこと 力なく言うと、

ガックリと 肩を落とした。

『 ・・・・今回のミッションは中止したほうがいいのかな…。』

「 中止?  中止ってどうしてなの?」

私は 真っ青になった。

となりで 私たちの やり取りを聞いていたホタルちゃんが説明してくれた。

『 猫にマタタビ、くずの葉さんに明宝ハム。

いくら 日本一の神狐・くずの葉さんといえど、酔っぱらっていては使い物になりんせん。

くずの葉さんは、 豚肉が お好きなのでありんす。

ちなみに、わっちはチキンハム。鳥肉が好物でありんす。

きのう、ワコちゃんにご馳走になりんした。』

やっぱり、私のせいだ。

ルーが今日のために どれだけ頑張ってきたか、私が いちばん よく知っている。

ルーに何と言って詫びたらいいのだろう。

「ルー、ごめん…。本当にごめんなさい、ルー。」

『 いいんだ。ワコちゃんに あらかじめ 伝えておくべきだったんだ。

忙しさのあまり、言うのを忘れてた。

ワコちゃんの性格を考えれば わかることなのに…。』

ルーは「 ふぅ…」と 深い ため息をついて、独り言のようにポツリ…と言った。

『 ボク、・・・神さま失格だな。』

「 何をいうの、ルー!」

気落ちしているルーを励まそうとしたが、言葉が見つからない。

( 元気だして、ルー。)

私は この頑張り屋のクマさんを、深い慈しみと いたわりを込めて 強く抱きしめた。

そして・・・、

くずの葉ちゃんの“ 変化ショー ”は 、大詰めを迎えていた。

 

「  しゅる しゅる しゅる しゅる——、ドーン!!」

 

“ タマ屋〜!、カギ屋〜! ”の掛け声と共に

くずの葉ちゃんの “ 変化ショー ”は ラストを 打ち上げ花火で飾る ” という

粋な演出で幕を下ろした。

彼女はストン、と楼門前の参道に落ちてきて、

そのまま「 グォー !」と高いびき をかいて眠ってしまった。

「・・・・・くずの葉ちゃん 。」

私は なすすべもなく、ただ、呆然とその場に立ちつくした。

 

『ワコちゃん、 心配ありんせん。

くずの葉さんのことですもの、きっと すぐに目が覚めんすよ。』

おろおろしている私を、ホタルちゃんが 慰めてくれた。

「 ありがとう、ホタルちゃん。……優しいのね。」

ホタルちゃんは 小首をかしげて、微笑んだ。

『 ルーちゃん、ちょっと… 』

ホタルちゃんはルーを呼び、そっと耳打ちした。

『 わっちの経験から申し上げんすと、くずの葉さんが復活するのに

かかる時間は2時間、といったところだと思いんす。』

『  2時間 !!』

ルーは絶望的な声をあげた。

『 _____終わった 。』

『 今回は無理だ。残念だけど、中止にするしかないか…。』と独りごちた。

・タイムリミットまで  :   5時間

・お山巡りにかかる時間  :  4時 間

・くずの葉ちゃん復活まで  :  2時間

【 5 - 4 - 2 = -1   】

ごく 単純な計算式だ。1時間 足りない。

何よりも 仕切役のくずの葉ちゃんが不在ではプロジェクトは動かない。

まさか、 こんなことに なろうとは!

参加者の誰もが、かかる事態を 予想だにしなかった。

全員が、稲荷山スターゲート プロジェクトの中止を覚悟した。

 

「  ポロロ・・・ン  」

Facebookの着信音が鳴った。

〜  親展  ルー殿        京都  神使・式神同盟社    安倍晴明より  〜

『・・・あれ?プリンス式神からメールだ。』

ルーはFacebookを開いた。

 

《  親展   ルー殿  》

天狐ホタルから連絡を受け、取り急ぎ メール致しました。

この度のアクシデント、さぞ お困りやろ。ご心痛、御察し致すでおじゃる。

ご安心たもれ!身共(みども)がお役に立ちますゆえ。

弊社はフォロー 抜群!

“  いかなる時 いかなる場合でも お客様の ご希望に応え、

ご用命、いかにしても果たすべし  ”

これが 弊社のモットーであるで あらしゃいますれば…。

( ざっくばらんに ええますと、これも料金のうち いうことであらしゃいます)

そこで、身共から解決策をご提案 致すでおじゃる。

この度のスターゲートプロジェクトの件、

宵宮祭の始まる前にゲートを開くとのことであらしゃいましたが、

予定を変更しては いかがやろか?

18時からの【宵宮祭・万灯神事】の開始と同時にゲートを開くのであらしゃいます。

人の子の祭事と共に成すのも、賑やかで ええもので あらしゃいますよ。

参道の混雑を懸念しておられるなら、心配ご無用!

稲荷山には 人の子が通る “ お山巡りの千本鳥居道 ”とは別に

神々の道、“ 朱の稲荷山古道 ” が あらしゃいます。

この古道は神々と眷族専用、いわば 生粋の神域であらしゃいます。

人の子はこの道に足を踏み入れることは もとより、視ることすらできません。

聞けば、ワコ殿は 超A級ライセンスの山城ビザをお持ちであるとのこと。

ならば、その特典によって、神威への入場許可が下りて あらしゃいます。

神々の道を通るのに、何の問題も あらしゃいますまい。

朱の稲荷山古道の通行証は当方で御用意 致すでおじゃる。

どないぞ、ご案じ召されるな。この解決案で、いかがやろか?

〜  プリンス晴明より 愛を込めて 〜

 

『 そうか!その手があったか!さすが プリンス式神、そこまでは思い至らなかった。

稲荷山古道でお山を巡れば、かかる時間は半分の2時間。ぐっと短縮される。

ワコちゃんの身体への負担も減るし、何より貴重な時間を有効に使える!』

“  ありがとう、ありがとう、 プリンス!”

ルーは 何度も 繰り返し 繰り返し礼を言い、Facebook にキスした。

中止にならなくてよかった!私はホッとして胸をなでおろした。

『 おや?プリンスから、もう一通メールが来てる、なに なに?』

ルーはメールを読み上げた。

 

《  ルー殿  》

この度のこと、弊社 所属の空狐・くずの葉が 多大なご迷惑をおかけ致しました。

深く お詫び致すでおじゃる。

不可抗力であったとはいえ、責任の一端は、当方にもあらしゃいます。

お詫びといっては なんで あらしゃいますが、

この度のご用命に限り、追加料金は一切、頂きまへん。

通行証 手配の件は、アフターサービス(無料)の適用、ということで、

お手打ちに させて頂きたく 思っておるで あらしゃいます。

 

くずの葉のことであらしゃいますが、そのまま寝かせておいてたもれ。

疲れが溜まっていたのやろ。

このところ、スケジュールがいっぱいで、多忙であらしゃいますから…。

それにしても、業務中、ハムに酔って昇天 致すとは…。

くずの葉らしからぬ、ミスで あらしゃいますな。

 

ときに、くずの葉のことなら、どないぞ お気遣いなく。

後ほど 身共が、ピックアップ致すでおじゃる。

目を覚ましたら すぐさま、通行証を持たせて 白狐宮に向かわせますゆえ。

では、ルー殿、ワコ殿。

今後とも、弊社を どないぞ ごひいきに!

 

《  京都  神使・式神同盟社      代表取締役  安倍晴明  》

〜PS〜

身共らって、使えるでしょ?お客様、いーっぱい紹介して たもれね!♥︎(^◇^)♥︎

 

『 うわー、しっかり営業してる。転んでも ただでは起きぬ、プリンス式神!

やっぱり、プリンスは商売が上手いや。』

ルーは そう言って 苦笑いした。

『 じゃあ、くずの葉ちゃんのことは プリンス式神にお任せしよう。

仕切り直して ミッション再開だ!』

ルーは復活、いつもの 陽気なルーに戻ったようだ。

晴明さんは、ほんとうに よく心得てくださっている。

私も 晴明さんに 心から、感謝した。

 

ルーは再び、神狐たちの前に立ち 呼びかけた。

『 ご参加の 有志・神狐の皆さん、

ご心配をおかけしましたが、諸事、解決 致しました。

ただいまより、スターゲートプロジェクトを再開させて頂きます。

当初の予定を変更し、

17時    奥の院・白狐宮 裏の 磐座前に 再集合。

仕切役のくずの葉さんを交えて、ランスルー(通しのリハーサル)の後、

18時から 本番、と致します。

17時までは フリータイム、自由行動です。

稲荷山観光をお楽しみ下さい。

明日の稲荷山観光ツアーの予定に変更はありません。

では、17時まで 解散!

ルーは頬を紅潮させて、指示を出した。

(よかった、いつもの元気印のルーだわ。)

私は心からホッとした。

 

『 ワコちゃん、フリータイムができたから 奥の院にいる 天才ト師に会いに行かない?』

「 天才ト師(ぼくし)って、占い師のこと?」

『そう、天才も天才。百発百中、超ド級のスーパーSランク!ね、ホタルちゃん。』

ホタルちゃんは「あい !」と言って頷き、コロコロと笑った。

奥の院に占い師なんていたかな?

しかも、百発百中のカリスマ鑑定士だと?

・・・ライバルじゃないか!!

「 行く!」

ルーとホタルちゃんの推薦だ。間違いは なかろうと、

私は その天才ト師の顔を拝んでくることにした。

 

内拝殿 参拝の後、私とルーはホタルちゃんの案内で

一般参道を奥の院・白狐宮へと向かった。

緑林の中、奥の院へと伸びる道を進み、

朱の千本鳥居を抜け、俗世から神々のおわす神域へ。

朱のトンネルを抜けた先には、宵宮祭の紅献灯で飾られた奥の院・白狐宮があった。

ふたりは私を白狐宮裏手の小さな社に連れて行った。

そこには台座の上にバレーボールほどの大きさの丸石をのせた 石灯籠が

2つ並んで置いてあった。

台座は石灯籠、丸石は宝珠だと ホタルちゃんが教えてくれた。

 

『 本日のハイライト!   ジャーン!ご紹介します。

こちらが 悩める乙女の味方、天才ト師の おもかる石さんでーす!』

このお石さまが うわさの天才だったか!

神霊が宿っているのですもの、そりゃ 百発百中だろうと、私は なるほど納得した。

それに、お石様は2体。

一度に2名、同時に鑑れる。実に効率的! 上手い鑑定方法だ。

 

『 おもかる石様から ご託宣を賜わる時は まず、白狐宮 裏の磐座様に参拝。

お浄めのロウソクの奉献は必須、忘れずにね。

その後、おもかる石様の所へ伺い、ご託宣を受ける。

この磐座様は おもかる石様の親分。

おもかる様より先に ご挨拶すること。

何事にも順番がある。仁義を欠いてはならない。

山頂の神木=しるしの杉の木におられる、稲荷山の主の御座所でもあるんだ。

時々、この磐座に降りて来られるよ。』と、ルー。

 

『じゃあ、手順を踏んで おもかる様に ご託宣 頂いてね。

そうだ、大事なことを 言い忘れていた。

おもかる石様からのメッセージを最大限に活かすための心得だよ。

ワコちゃん、よーく聞いてね。

おもかる石様の ご託宣は とっても シンプル。

願いが叶うかどうか、その成否を答えてくれる。

石灯籠の宝珠を持ち上げて 軽いと感じれば願いが叶う。重ければ バツ。

ご託宣の結果が思わしくなかったとしても、ガッカリすることはない。

運勢は 心がけ次第で いくらでも 変わる。

人生は、いつも 選択の繰り返し。

幸運を掴むか 不運に泣くかは、その時々のチョイスで決まる。

神社へは災いを取り除き、幸運パワーを頂くために行くんでしょ?

ご託宣で 悪い卦が出たからといって、パワーダウンしてどーするの。』

それにね、と、ルーの話は続く。

『 悪い卦は神様からの大切なメッセージ。

転ばぬ先の杖、と思ってありがたく頂戴してほしい。

だって、その悪いところさえ 改め変えれば、幸せになれるのだからね。

“  除災得幸  ”

ワコちゃん、幸せ はね、心がけ次第で 掴めるもの なんだよ。』

「 ありがとう、ルー。よくわかったわ。

では、それらをよーく踏まえた上で おもかる石様に ご託宣を 賜わろう!」

 

私はルーから教えられた手順通り、親分・磐座さまに手を合わせた後、

おもかる石様の前に立った。

『ワコちゃん、住所と真名を言うのを忘れずに。見料は目の前の賽銭箱へ。』とルー。

私はルーを 石灯籠横の荷物台に座らせ、バックから 小銭入れを出した。

ホタルちゃんに “ 見料は いかほどか?”と尋ねたら、

“ お気持ちで 結構でありんす ” と応えが返ってきた。

うーむ、一応、神様であらせられるし…

ここは ひとつ、敬畏を払って おみくじと同額の¥100にしよう。

私は、賽銭箱に百円玉を入れ、おもかる石様に願い事を申し述べた。

 

______その10分後、

「 ちょっと、両替してもらってくるわ…。」

 

石を持ち上げる時、雑念が多いのか、それとも気合いが足らないのか…。

何度 トライしても 願い事の成否は 今ひとつ はっきりしない。

ここ一番、私としては どうしても、お石様から 色よい返事を頂きたい。

よし、今一度 と続けているうちに、気がつけば 小銭入れの中身は からっぽ。

お賽銭用に準備した 百円玉15個、 全て無くなっていた。

両替から戻った私は、再び、おもかる石様にご託宣を求めた。

臍下丹田に力を入め、ふんっ‼︎と、お石様を持ち上げた。

「・・・・・・。」

さっきより 少し、重たく…感じる……気がする。

なぜだ ⁉︎ ルーに言われたとうり、心がけを改め変えて 質問してるのに!

『 ワコちゃん、目が血走ってる。

そんなに必死になって いったい何を聞いてるの?』

「 決まってるじゃない、玉の輿 よっ!」

『  また それ? 他に聞くことないの?』

「 ・・・・・ふんっ‼︎・・」

私はルーの声が聞こえないほど、お石様のご託宣に熱中していた。

「 いつまで続けるつもり?後ろをごらんよ、皆さんお待ちだよ。』

(よし、今度こそ!呼吸を調えて 再度、チャレンジだ。)

「  すーはー、すーはー、フーッ・・・・・ふんっ!」

『 ワコちゃん!!ボクの話、聞いてるの?』

『 おんやまぁ、ワコちゃん、聞こえてないようで ありんすねぇ。

あれより 10分……。たいそうな根性ですわぇ、執念を感じんす。

止めるのは無理といわすもので ありんすぇ。

気が済むまで やらせるしか ありんせんわね。』と、ホタルちゃん。

 

そして、更にその10分後___。

私の後ろは、おもかる石様にご託宣を求める人々の長蛇の列。

私は お石様にハマった。

お石様が玉の輿に乗れると約束してくださるまで、止めるわけにはいかない。

何度でも改め変えて トライしてやるぞ と粘った。

『 ねぇ、ワコちゃんてばー 、 もう止めようよー。

もう……!! 恥ずかしいよ、ボク。ホタルちゃんも なんとか言ってやって。』

ルーはホタルちゃんに助けを求めた。

『 わっちは あきれんした。言葉も ございんせん。』

ふぅ…、と溜息をつくホタルちゃん。

『 うわ・・・‼︎ たいへんだっ!ワコちゃんが 我利我利亡者に 取り憑かれた !!』

『 それは  一大事でありんす!!』

慌てふためいた ふたりは、ガリガリ亡者に取り憑かれ、

お石様に ハマッた私を 宝珠石から引き離そうとしたが ムダだった。

ふたりは どうしたものかと顔を見合わせた。

そのとき……

玉の輿 亡者となった 私は、おもかる石様に、懇望している最中だった。

“ お石様、お石様、最期の お願いです。何卒、わが大望をお聞き届けください ”

 

神仏に慈悲がないのか、 身の丈にあわぬ 願いなのか…。

悔い改め方が足らないというのなら、いくらでも 改め変えてやろうじゃないの!

おもかる石様が、yes,と言ってくださるまで、

不退転の決意で 臨む覚悟の私であった。

 

『  ワコちゃん…。改め変えるの意味が…違うよ。』

と、ルーは そう、 ひとりごちた。

 

〜 奥の院・ 白狐宮 裏   稲荷山審判所  〜 

迷える子羊を 救いたもう、神様のジャッジ は 今日も開廷す。

 

 

〜  つ づ く 〜

 

皆さん、お久しぶりです!テディベア ルーです。

この度も 最後まで お付き合いくださって ありがとう!(^O^)/

神狐たちへの愛を綴っていたら、こんなに長ーいお話になってしまいました。

 

ときに、〜百発百中、最強のト師・稲荷山のおもかる石〜

ご託宣を頂く時は、どうか、気をつけて。

ハマると ワコちゃんみたいに 我利我利亡者(ガリガリもうじゃ)に 取り憑かれるぞ!

次回 act,11  神様のエンブレム  〜 開通!稲荷山神道 〜  【伏見稲荷大社4】

11月7日日頃、お届けする予定です。

では 皆さま 、 近々 また お会いしんしょう。 おさらばぇ…。

追伸〜

10月末まで、大山祇神社で、修行してきます。

パワーを充電してくるよ!(^∇^)

from,  ルー